ITADとは?IT資産の適正処分をどこに頼むか|主要4社を実務目線で比較【2026年版】
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ITADとは何か。どこに頼むのが正解か。
使い終わったPCやサーバーを、ただ捨てるのではなく「データを確実に消したうえで、売れるものは売り、残りは適正に処理する」。これをITAD(IT Asset Disposition=IT資産の適正処分)と呼びます。台数が増えるほど、これを自社でやるのは現実的でなくなります。この記事は、発注側の立場でITAD事業者を選ぶための比較ガイドです。
結論
取引先審査を通すなら パシフィックネット。監査に耐える消去の証跡なら ゲットイット。機器の幅と産廃処理まで一社なら KOEI JAPAN。少台数を安く確実になら リネットジャパン。
ITAD事業者は「安い・高い」では並びません。出せる書類、扱える機器の範囲、消去の認証レベルが違います。自社が何を証明しなければならないかを先に決めれば、選ぶ相手はほぼ自動的に決まります。以下、その決め方を順に説明します。
本記事について。掲載企業との間に、アフィリエイト契約・広告出稿・紹介料などの利害関係は一切ありません。各社の情報は2026年9月19日時点の公式サイトの記載に基づきます。料金・対応条件・認証の取得状況は変わります。発注前には必ず各社へ直接ご確認ください。表の「記載なし」は、今回の確認で公式サイトに記載が見つからなかった項目で、対応していないという意味ではありません。
結論:4社比較一覧
| 比較項目 | おすすめ度 1パシフィックネット | おすすめ度 2ゲットイット | おすすめ度 3KOEI JAPAN | おすすめ度 4リネットジャパン |
|---|---|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社パシフィックネット(東証スタンダード・証券コード3021) | 株式会社ゲットイット | KOEI JAPAN株式会社 | リネットジャパングループ株式会社/リネットジャパンリサイクル株式会社 |
| 最大の強み | ITAD業界で唯一の上場企業。レンタルから処分まで一社で完結 | ADEC消去プロセス認証の最高ランクと、再販チャネルの広さ | データ消去4方式と国際認証。産廃処理まで自社 | 小型家電リサイクル法の国認定。無料回収の枠組み |
| 対応機器 | PC・サーバー・ストレージ・ネットワーク機器 | PC・サーバー・ネットワーク機器ほかIT機器全般 | サーバー・PC・スマートフォン・タブレット・ネットワーク機器・周辺機器 | PC・周辺機器 |
| データ消去の方式 | ソフトウェア消去/物理破壊 | 上書き消去/物理破壊(穿孔破壊・米国式V字破壊)/磁気消去 | 4方式:上書き消去/磁気消去/物理破壊(穿孔)/物理破壊(破砕) | 自動消去(無料ソフト提供)/委託消去(Blancco・専用破壊機) |
| 認証 | ISO 27001 | ADEC 消去プロセス認証★★★(2022年取得・国内4社目の最高ランク) | ADEC認証済(上書き消去)/ISO 14001・27001・9001・45001/R2 ver3 | 小型家電リサイクル法 認定事業者 第24号 |
| 発行される書類 | データ消去証明書、明細付き請求書 | グリーンサイクルレポート(リユース率・CO2排出削減貢献量) | データ消去証明書(写真付・リスト付レポートも対応可) | データ消去証明書(メーカー名・型番・回収日・到着日・消去作業日を記載) |
| 料金 | 最低料金 39,000円(税込42,900円)。引き取りは別途 | 記載なし | 記載なし(機器本体は買取) | 委託消去 1台 3,180円(税込3,498円) |
| 買取・再販 | リユース品は法人の業務用PCとして自社販売 | 買取後にリマーケティング。国内300社+海外の販売チャネル | 機器本体は買取 | 記載なし |
| 対応エリア | 全国の自社テクニカルセンター | 記載なし | 全国47都道府県(沖縄を除く) | 全国対応 |
| 公開実績 | 記載なし | 創業25年以上・累計96万台以上 | 記載なし | 700自治体以上がPCの捨て方として採用 |
※ 各社が公開している項目が異なるため、同一条件での比較ではありません。比較の出発点としてお使いください。
目的別・逆引きチャート
自社の状況に近いものから読んでください。
上場企業で、取引先の与信・コンプライアンス審査が厳しい
→ パシフィックネット。ITAD業界で唯一の上場企業(東証スタンダード・3021)です。取引先審査に通しやすく、事業の継続性も財務情報で確認できます。レンタルから運用保守、処分までを一社で受けているため、「借りたPCをそのまま処分まで任せる」流れが作れます。
消去の証跡を、社内規程や監査に対して最も強く示したい
→ ゲットイット。第三者証明機関ADECの消去プロセス認証で最高ランクの★★★を2022年に国内4社目として取得しています。消去方式そのものではなく「消去の業務プロセス全体」が認証されている点が、監査対応では効きます。
値がつかない機材も多く、産廃処理まで一社で完結させたい
→ KOEI JAPAN。消去方式が4種類あり、社内規程で方式を指定している会社でも合わせやすい。ISO 4規格に加えてR2 ver3(電子機器リサイクルの国際認証)を取得しています。スマートフォン・タブレット・ネットワーク機器まで対象なので、PC以外が混ざる案件に向きます。
台数が少なく、費用をかけずに片付けたい
→ リネットジャパン。小型家電リサイクル法の認定事業者(第24号)という国の枠組みで回収しています。データ消去を自社で行うなら無料ソフトの提供があり、委託する場合も1台3,180円(税込3,498円)と明朗です。700以上の自治体がPCの捨て方として採用しています。
グラフィックボードを積んだPCやワークステーションが混ざっている
→ 一般のITAD事業者は事務用PCの基準で査定するため、GPU搭載機は性能のわりに値がつきにくいことがあります。設計・CAD・動画編集・検証環境で使っていた機材が含まれるなら、GPUを扱う業者にも並行して当ててください。同じ1台でも、見る人が変われば金額が変わります。
ITADとは何か(廃棄・買取とどう違うか)
ITADは IT Asset Disposition の略で、日本語では「IT資産の適正処分」と訳されます。使い終わったIT機器を、データ消去・再販(リユース)・再資源化(リサイクル)・適正処理までを一連の業務として扱う考え方です。
似た言葉との違いを整理すると、こうなります。
| 目的 | 扱う範囲 | 出てくる書類 | |
|---|---|---|---|
| 廃棄・処分 | 捨てる | 運搬と処理 | マニフェスト(産業廃棄物管理票) |
| 買取 | 現金化する | 値のつくものだけ | 買取明細 |
| ITAD | 資産として出口まで管理する | データ消去・再販・再資源化・処理のすべて | データ消去証明書、資産明細、環境レポート ほか |
実務上の違いは「台帳と突き合わせられるか」です。買取業者に渡すと「何台、いくら」の明細は出ますが、資産番号やシリアル単位での追跡は前提になっていません。ITADは1台ごとにシリアルを記録し、どの機器をどう処理したかを後から示せる形にします。監査や情報セキュリティの内部統制で問われるのは、まさにこの点です。
なぜこの分野が重視されるようになったか
2019年、自治体が処分を委託したサーバーのハードディスクが、業務委託先の従業員によって持ち出され、データが消去されないままネットオークションで転売される事件が起きました。個人情報を含む大量の行政文書が外部に流出し、社会問題となっています。
この一件で明確になったのは、「委託先に渡した時点で終わり」ではないことです。渡した先で誰がどう処理したかを、排出した側が証明できなければならない。ITADという言葉が日本で定着したのは、この時期からです。
消去の信頼性を第三者が担保する仕組みとして、ADEC(データ適正消去実行証明協議会)の認証があります。認証には「消去技術認証」(消去ソフト・機器そのものの認証)と「消去プロセス認証」(事業者の業務プロセスの認証)があり、後者には★の数によるランクがあります。事業者を選ぶときは、どちらの認証を、どのランクで取得しているのかまで見てください。
事業者選定で必ず確認すべき7項目
1. 必要な書類が出るか
ITADで出てくる書類は、用途がそれぞれ違います。データ消去証明書は情報システム部門と監査向け、固定資産滅却証明書は経理が除却損を計上するための証憑、マニフェストは産業廃棄物の法令上の義務です。自社の経理・情シス・法務に先に確認し、必要な書類の名前を挙げて「これを出せますか」と聞いてください。順番が逆だと確認が往復します。
2. 消去方式が社内規程を満たすか
ソフトウェアによる上書き消去で足りるのか、物理破壊まで求められるのか。KOEI JAPANのように4方式を用意している事業者なら、規程に合わせて選べます。SSDはHDDと消去の効き方が違うため、両者で扱いが変わるかも確認してください。
3. 認証の種類とランク
「ADEC認証取得」とだけ書かれている場合、消去ソフトの技術認証を指していることがあります。事業者の業務プロセスが認証されているかは別の話です。ゲットイットのようにプロセス認証★★★と明記されていれば、そこまで含めて確認が取れます。
4. 買取額と処分費の関係
ITADの見積もりは「買取額 −(消去費+運搬費+処理費)」の差し引きで出てきます。買取額だけ、あるいは処分費だけを見ても比較になりません。必ず差し引き後の金額で比べてください。台数が多く年式が新しければ差し引きでプラスに、古い機材ばかりなら費用が出る側に振れます。
5. 運搬と梱包を誰がやるか
引き取りに来てもらえるのか、送るのか。100台を自社で梱包すると人日で効いてきます。パシフィックネットは最低料金39,000円(税込42,900円)と明示したうえで「引き取りは別途費用」としています。見積書に運搬と梱包作業が含まれているかを確認してください。
6. 対象機器の範囲
PCだけなのか、サーバー・ネットワーク機器・スマートフォン・タブレットまで受けるのか。ラックマウントのサーバーは取り外し作業が伴うため、対応可否と作業範囲を分けて聞く必要があります。
7. 環境側のレポートが要るか
サステナビリティ報告や取引先からの要請で、リユース率やCO2削減量の数字を求められる会社が増えています。ゲットイットのグリーンサイクルレポートのように、環境面の実績を数字で出せる事業者かどうかを確認してください。後から集計するのは困難です。
各社の詳細
No.1
株式会社パシフィックネット
prins.co.jp / 東証スタンダード上場(証券コード 3021)/ 全国
業界唯一の上場企業料金を公開レンタルから処分まで
ITAD業界で唯一の上場企業です。使用済みPC・サーバーの引き取りから、データ消去、適正処理、リユース・リサイクルまでを一貫して扱います。リユース品は同社が法人向けの業務用PCとして販売しており、出口まで自社で持っている構造です。
この記事の4社のなかで、料金を明示している唯一の事業者でもあります。最低料金39,000円(税込42,900円)、引き取りを希望する場合は別途費用。予算を立てる段階で数字が置けるのは実務上ありがたい点です。データ消去はソフトウェア消去と物理破壊に対応し、ISO 27001を取得。データ消去証明書と明細付き請求書を発行します。
同社はAIインフラの拡大を見据え、ITADの対象領域をサーバー・ストレージ・ネットワーク機器へ拡大すると発表しています。データセンター更改のような大型案件を扱う体制があるということです。
向いているのは、取引先審査が厳しく、上場企業であることが選定条件になる会社。確認が要るのは、産業廃棄物関連の許可と対応台数の上限です。公式サイトに記載が見つからなかったため、直接お聞きください。
No.2
株式会社ゲットイット
get-it.ne.jp / 創業25年以上 / 累計96万台以上
ADEC★★★累計96万台再販チャネル300社
25年以上ITADを手がけ、累計96万台以上の機器を処理してきた会社です。最大の特徴は消去の認証で、2022年に第三者証明機関ADECの消去プロセス認証★★★(最高ランク)を国内4社目として取得しています。消去ソフトの認証ではなく、業務プロセス全体が認証されている点が監査対応では重みを持ちます。
消去方式は、ソフトウェアによる上書き消去、物理破壊(穿孔破壊・米国式V字破壊)、磁気消去。買取りだけでなく、アンラック(ラックからの取り外し)・移送・データ消去まで一括で引き受けます。データセンターの機器を扱ううえで、この作業範囲は重要です。
再販力も強みで、国内300社と海外の販売チャネルを保有。売れる先が多いほど買取額は上がるため、差し引き後の金額で有利になりやすい構造です。環境面ではグリーンサイクルレポートとして、リユース率やCO2排出削減貢献量を可視化した資料を出します。
向いているのは、監査や社内規程で消去の証跡を強く求められる会社、サーバー・ネットワーク機器が中心の案件。確認が要るのは料金体系と対応エリアです。公式サイトに記載が見つかりませんでした。
No.3
KOEI JAPAN株式会社
koei-j.co.jp / 全国47都道府県(沖縄を除く)
消去4方式R2 ver3ISO 4規格
ITAD・IT資産廃棄・リサイクル・産業廃棄物処理を手がける会社です。4社のなかで認証の記載がもっとも厚いのがここで、ISO 14001・27001・9001・45001の4規格に加えて、電子機器リサイクルの国際認証R2 ver3を取得しています。
データ消去は4方式(上書き消去/磁気消去/物理破壊・穿孔処理/物理破壊・破砕処理)。上書き消去はADEC認証済です。社内規程で方式が指定されている会社でも、合わせやすい構成になっています。データ消去証明書は写真付き・リスト付きのレポートにも対応。
対象機器はサーバー・PC・スマートフォン・タブレット・ネットワーク機器・周辺機器と幅広く、機器本体は買取の対象です。対応エリアは沖縄を除く全国47都道府県。
向いているのは、PC以外の機器が混ざっていて、値のつかない分の産廃処理まで一社で完結させたい会社。確認が要るのは料金と、産業廃棄物処理業の許可の具体的な範囲です。
No.4
リネットジャパン
renet.jp / 小型家電リサイクル法 認定事業者 第24号 / 全国対応
国の認定事業者700自治体以上消去1台3,180円
小型家電リサイクル法の認定事業者(第24号)として、国の枠組みでパソコンを回収している会社です。700以上の自治体がPCの捨て方として採用しており、自治体の公式サイトから案内されている点が信頼の裏づけになります。全国対応。
データ消去は2通りで、自社で行う場合は無料の消去ソフトの提供、委託する場合はBlancco(消去ソフトの業界標準のひとつ)または専用機による物理破壊。委託消去の料金は1台3,180円(税込3,498円)と明朗です。データ消去証明書にはメーカー名・型番・回収日・到着日・データ消去作業日が記載されます。
向いているのは、台数が数台〜数十台で、費用を抑えて確実に片付けたい会社。向かないのは、サーバーやネットワーク機器が中心の案件、資産台帳とシリアル単位で突き合わせる必要がある案件です。対象がPC・周辺機器に寄っています。
費用はどう決まるか
ITADの見積もりは、単純な「1台いくら」にはなりません。プラス要素とマイナス要素の差し引きで決まります。
| 内容 | 大きく動かす要因 | |
|---|---|---|
| + 買取額 | 再販できる機器の評価額 | 年式、台数のまとまり、同一機種か、事業者の販売チャネルの広さ |
| − 消去費 | 1台あたりの消去作業 | 方式(ソフト消去か物理破壊か)、SSDかHDDか、証明書の様式 |
| − 運搬費 | 引き取りまたは発送 | 台数、距離、梱包を誰がやるか、ラックからの取り外しの有無 |
| − 処理費 | 値のつかない機器の適正処理 | 古い機材の比率、モニターの台数 |
目安として、発売から4年以内のノートPCがまとまっているなら差し引きでプラスに振れることが多く、7年以上前のデスクトップとモニターが中心なら費用が出る側に振れます。手元の機材がどちらに寄っているかで、当たるべき事業者も変わります。
発注前チェックリスト
この形で条件を揃えて投げると、比較できる回答が返ってきます。
- 必要な書類を先に確定する(データ消去証明書/固定資産滅却証明書/マニフェスト/環境レポート)
- 消去方式の社内規程を確認する。指定があるなら規格名で伝える。SSDとHDDで扱いが変わるかも聞く
- 台数と内訳を出す。ノート/デスクトップ/サーバー/ネットワーク機器/モニター/GPU搭載機を分けて書く
- 資産台帳との突き合わせが必要か決める。必要ならシリアル単位の記録を条件に入れる
- 引き取り日と、退去期限がある場合はその日付を伝える
- 梱包と取り外しを誰がやるか確認する。ラックマウント機があるなら特に
- 買取額と費用を差し引いた一本の金額で見積もりを出してもらう
- 認証の種類とランクを確認する(技術認証かプロセス認証か、★の数)
- 値のつかない分の行き先を確認する。産業廃棄物の許可があるか
- GPU搭載機は別枠で見積もる。一般のITAD事業者とGPUを扱う業者の両方に当てる
まとめ
ITADの事業者選びは、金額の比較ではなく「出せる証跡」と「処理経路」の比較です。消去の証明をどこまで強く求められるか、資産台帳と突き合わせる必要があるか、値のつかない機材をどう流すか。この3つが決まれば、選ぶべき相手はほぼ自動的に絞れます。
取引先審査を通すなら パシフィックネット、監査に耐える証跡なら ゲットイット、機器の幅と産廃処理まで一社でなら KOEI JAPAN、少台数を安く確実になら リネットジャパン。そして、外したPCにグラフィックボードが載っているなら、必ず別枠で見積もってください。
グラフィックボード搭載機の買取・法人回収
パソツクは中古ゲーミングPC専門店です。グラフィックボードを搭載した業務用PC・ワークステーションの買取をご相談いただけます。値のつかない機材の無料回収とデータ消去(ご要望に応じて消去証明書を発行)も、あわせてお引き受けしています。東京都・千葉県・神奈川県で50台以上の場合は、スタッフが直接お伺いします。